一般皮膚科について

皮膚科は、皮膚に関するあらゆる異常や症状、疾患を診察・検査・治療する診療科です。
当院では、公的医療保険が適用される皮膚疾患の治療を中心に行っております。
湿疹、かぶれ(接触皮膚炎)、水虫、じんましん、にきび、いぼ、たこ、うおのめ、アトピー性皮膚炎、やけど(日焼けを含む)、乾癬など、幅広い皮膚疾患に対応しています。
また、髪や爪も皮膚の一部ですので、爪の異常や円形脱毛症などについてもお気軽にご相談ください。

当院の一般皮膚科の特長

  1. 女性皮膚科専門医が、年齢や肌質に合わせた丁寧な診察を行います。
  2. 保険診療を主体とし、保険ではカバーしきれないお悩みには、適切な自費診療のご案内も可能です。
  3. ホクロやいぼなどの手術は、当日の日帰りで安全に行えます。
  4. 紫外線ナローバンドUVBの全身型照射により、幅広い皮膚疾患に対応します。
  5. 赤あざ・青あざのレーザー治療(ピコレーザー・Vビーム)は、保険適用で当日施術が可能です。

一般皮膚科で対応する
主な症状、疾患

湿疹

皮膚に何らかの原因が生じ、それによって炎症が引き起こされている状態を総称して「湿疹(しっしん)」といいます。
この場合、肌に赤み・かゆみ・水ぶくれ・かさつき・がさつきなどの症状がみられるようになります。

発症の原因

湿疹の原因はさまざまですが、内的要因と外的要因の2つに大きく分けられます。
これらが単独または組み合わさることで発症すると考えられています。

内的要因 アレルギー体質、皮膚バリア機能の低下、発汗や皮脂量の異常、ストレスなど
外的要因 薬剤、ハウスダスト、化学物質、アレルゲン(食物・植物など)、金属 など

治療について

原因が明らかな場合は、まず原因を取り除く環境づくりが大切です。
皮膚の炎症に対しては、ステロイド系の外用薬を中心に使用します。また、かゆみの症状が強い場合には、抗ヒスタミン薬の内服を併用することもあります。

症状や原因によって治療法は異なりますので、自己判断せず、医師の診察を受けることが大切です。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎の人では、肌の水分を保つために重要なセラミドやフィラグリンなどの成分が減少し、皮膚が乾燥しているため、通常より皮膚のバリア機能が低下しています。アトピー性皮膚炎の人の肌は、外部からの刺激を受けやすく炎症が起こりやすい状態です。フィラグリンはバリア機能を保つために重要な役割を果たしているタンパクで、アトピー性皮膚炎の人では、このフィラグリンができにくくなっていることがあると言われています。

主な症状と経過

多くの患者様は乳幼児期に発症します。
年齢によって症状や部位が異なるのも特徴です。

乳児期(生後2か月頃~)

湿り気のある赤みを帯びた湿疹が頭部や顔面に現れ、体幹や手足(特に肘・膝の内側)へ広がります。

幼児期以降(1歳~)

顔や頭の湿疹は減少し、首回りや肘・膝の屈曲部に黒ずんだ乾燥した湿疹(苔癬化)がみられるようになります。

思春期・成人期

成長とともに改善する方も多いですが、症状が続く場合もあります。
この時期には、顔、首、胸、背中、手足の屈曲部などに発疹がみられます。

治療について

治療の基本は、炎症の抑制と皮膚バリアの回復です。

外用療法 ステロイド系外用薬、外用免疫抑制薬、外用ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬、外用ホスホジエステラーゼ4阻害薬など
光線療法 ナローバンドUVB(保険適用)
内服療法 抗ヒスタミン薬、シクロスポリン、ステロイド内服薬、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬など
注射療法 生物学的製剤

また、日常的なスキンケアも欠かせません。
保湿剤による皮膚の保護や、肌を清潔に保つことが症状の安定につながります。

にきび(尋常性ざ瘡)

皮膚には「アクネ菌」と呼ばれる細菌が常在しています。
このアクネ菌は皮脂を栄養源として増殖しますが、思春期になると男性ホルモン(アンドロゲン:女性にも分泌されます)の増加により皮脂の分泌が活発になります。
その結果、皮脂の分泌が多い部位(顔、胸、背中など)では、毛穴の中でアクネ菌が過剰に繁殖し、炎症が起こりやすくなります。
これが一般に「にきび」と呼ばれる尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)です。

症状の特徴

にきびでは、赤い丘疹、膿をもった膿疱、しこり状の結節、嚢腫などがみられます。
症状を繰り返すうちに、炎症後の色素沈着や瘢痕(にきび跡)が残ることもあります。
思春期に多く見られますが、成人後も発症する「大人にきび」もあります。
この場合は、生活習慣の乱れ(睡眠不足・ストレス・不規則な食生活)や、誤ったスキンケアが悪化要因となることがあります。

治療について

治療では、炎症の原因となるアクネ菌の増殖を抑えることが基本です。

にきび治療〔塗り薬〕

当院で処方しているにきび治療の塗り薬について代表的なものをそれぞれ紹介します。

薬の種類
  • レチノイド(製品名:ディフェリンゲル)
  • 過酸化ベンゾイル(製品名:ベピオ)
  • 抗菌薬(製品名:ダラシンTゲル、アクアチム、ゼビアックス)

塗り薬には「レチノイド」、「過酸化ベンゾイル」、「抗菌薬」の大きく分けて3種類ありますが、組み合わせて使うと効果が高くなります。どの薬がよく効くかは一人ひとりで異なるため、効果を見ながら組み合わせを選んでいきます。

また、上記の成分を配合した薬もあります。

  • デュアック(ダラシン+ベピオの合剤)
  • エピデュオ(ディフェリン+ベピオの合剤)

配合薬は複数の薬の働きによって患部にアプローチするため、早期改善に効果的です。デュアックとエピデュオはどちらも1日1回の塗布でよく、利便性の高い製品といえます。

にきび治療〔飲み薬〕

当院で処方しているにきび治療の飲み薬 主なもの
抗菌薬(製品名:ルリッド、ビブラマイシン、ミノマイシン)

抗菌作用ではなく抗炎症作用により赤にきびの炎症を抑えます。4~8週間の継続使用で効果を実感しやすくなります。連続使用は最長12週間程度です。

イソトレチノイン(製品名:イソトロイン)(自費治療)

セルフケアのポイント

日常生活での工夫も症状の改善につながります。

  • 規則正しい生活を心がける
  • 睡眠を十分にとる
  • 洗顔は1日2回を目安に、やさしく行う(過度な洗顔は逆効果)
  • 肌に合わない化粧品やスキンケア用品の使用を避ける

当院ではピーリング ドクターコスメも取り扱っています

酒さ・酒さ様皮膚炎

酒さ

酒さは、中高年世代に発症しやすい慢性的な炎症性皮膚疾患です。
顔面、特に鼻の周囲を中心に発赤(赤み)、腫れ、毛細血管の拡張などがみられ、進行するとにきびのような丘疹や膿胞が現れることもあります。

2022年にようやく、酒さに対して保険診療で使用できる外用薬「ロゼックス®ゲル(メトロニダゾール)」が承認されました。これにより治療の選択肢は広がりましたが、依然として保険診療だけでは十分な治療効果を得にくい場合もあります。

そのため、当院では症状の程度や皮膚の状態に応じて、保険診療と自費診療を組み合わせた最適な治療プランをご提案しています。
具体的には、ロゼックスゲルに加えてイベルメクチンクリーム、アゼライン酸クリーム、Vビームレーザー、内服治療などを組み合わせることで、より高い治療効果を目指します。

酒さは、治療期間が数か月から年単位におよぶこともあり、症状が良くなったり悪化したりを繰り返す、長期的なマネジメントが重要な疾患です。
当院では、これまでの豊富な診療経験を活かし、患者さまの肌の状態や生活スタイルに合わせた無理のない治療を大切にしています。「顔の赤みが治らない」「にきびと違う気がする」と感じる方は、ぜひ一度ご相談ください。

発症の原因

酒さの原因は、まだ完全には解明されていません。
ただし、皮膚の免疫反応の異常や、毛包虫(デモデックス)と呼ばれるにきびダニの増殖、血管の拡張反応、遺伝的な素因などが複雑に関与していることが分かっています。
これらが重なり合うことで、顔の赤みやブツブツ、ほてりといった症状が現れます。

① 毛包虫(デモデックス)の関与

酒さの患者さんでは、デモデックス(Demodex)というにきびダニが過剰に増えていることが多いとされています。
正式には「毛包虫」と呼ばれ、健康な人の皮膚にも常在している微生物の一種です。

通常は害を及ぼしませんが、皮脂分泌が多い・免疫バランスが乱れている・外用ステロイドを長期使用しているなどの状況で増殖すると、皮膚の免疫が過剰に反応し、炎症や赤み、ブツブツの原因になります。このため、イベルメクチンクリームやメトロニダゾール外用(ロゼックス®)などが有効です。

② 自然免疫の異常

皮膚には「自然免疫」という仕組みがあり、細菌や紫外線などの外界刺激を感知して炎症をコントロールしています。
酒さではこの自然免疫が慢性的に過剰反応しており、

  • 炎症性サイトカイン(IL-8、TNF-α など)の増加
  • 抗菌ペプチド(カテリシジン)の異常分解

が起こることで、皮膚の赤み・熱感・敏感肌を引き起こします。
この免疫異常が「敏感肌」「しみる感じ」の原因にもなります。

③ 毛細血管の拡張・増殖

酒さの代表的な症状である頬や鼻の赤みは、毛細血管の拡張と新生が関係しています。
紫外線や炎症、免疫異常などによって血管を増やすシグナル(VEGFなど)が過剰になり、拡張した毛細血管が皮膚表面に透けて見えるようになります。

また、皮膚の温度や感情、刺激に反応する神経(TRPV1受容体)の反応性が高まり、ほてり・温度差で赤くなるなどの症状が起こりやすくなります。

④ 遺伝的な要因

酒さには遺伝的な背景も関与しているといわれています。
欧米の研究では、紫外線への感受性やアレルギー性炎症に関わる遺伝子に共通した変異が報告されています。
つまり、「酒さになりやすい体質」があると考えられています。

⑤ 外的刺激・環境・生活習慣

日常生活の中にも酒さを悪化させる要因があります。

  • 紫外線
  • 気温の急な変化(特に冬の暖房による寒暖差)
  • アルコール・熱い飲み物・辛い食べ物
  • 激しい運動や長風呂などの血流増加
  • 花粉、ストレス、睡眠不足
  • 合わない化粧品の使用

これらは血管拡張や炎症を促す刺激となり、赤みやほてりが強くなります。
また、ステロイド外用薬を長期間使用していたり、ピーリング・強いレーザー治療を繰り返していた方では、酒さ様皮膚炎という類似した状態を引き起こすこともあります。

⑥ 医薬品やスキンケアによる悪化

保湿剤としてよく使われるヘパリン類似物質(ヒルドイドなど)は血行促進作用があるため、
酒さの赤みを悪化させることがあります。
また、アトピー治療薬のプロトピック軟膏(タクロリムス)も、顔面に長期使用すると同様の赤みを起こすことがあります。
症状に合わせて適切なスキンケアや薬の見直しが大切です。

酒さの種類と症状

酒さは、症状の進行度や特徴によって3つの段階(第1度〜第3度)に分類されます。

第1度酒さ(紅斑性酒さ:赤ら顔)

頬、鼻先、眉間、あごの先などに一過性の発赤がみられ、次第に慢性化します。
毛細血管の拡張や脂漏(フケのような剥がれ)を伴い、掻痒感やほてりを感じることがあります。
寒暖差・飲酒・日焼けなどで症状が悪化しやすい傾向にあります。

第2度酒さ(酒さ性ざ瘡)

第1度の症状に加え、毛穴の部分に一致して丘疹や膿胞が出現します。
初期は顔の中心部に限局しますが、次第に顔全体に広がることもあります。

第3度酒さ(鼻瘤)

鼻先にできた丘疹が融合して赤紫色の凹凸不整な腫瘤を形成します。
毛穴が拡大し、ミカンの皮のような質感の「赤鼻」になるのが特徴です。
また、角膜炎や結膜炎などの眼の炎症を伴うこともあり、目の痛み・かゆみ・充血などが見られる場合もあります。

治療について

酒さは慢性的に経過し、再発しやすい(難治性)皮膚疾患です。
そのため、まずは生活習慣の見直しが重要になります。

  • 日光への過度な曝露を避ける
  • ストレスをためない
  • アルコールや辛いものなど、血管を拡張させる飲食物を控える

症状に応じて、次のような治療を行います。
酒さは原因が複合的なため、外用・内服・レーザー・スキンケアを症状に応じて組み合わせて治療します。

① 外用療法
メトロニダゾール(ロゼックスゲル)

抗菌・抗炎症作用を持ち、表皮ブドウ球菌や顔ダニの異常増殖を抑制します。
皮膚の自然免疫を整えることで、赤み・丘疹の改善が期待できます。

イベルメクチンクリーム(自費)

寄生性の顔ダニ(デモデックス)に対する抗寄生虫薬で、炎症性酒さに有効です。
1日1回就寝前に塗布し、2週間ほどで皮疹の減少がみられます。

アゼライン酸(自費)

角化を抑制し、毛包内の炎症を軽減します。
刺激が少なく、敏感肌でも使いやすい非ステロイド外用薬です。

② 内服療法
抗菌薬(ビブラマイシン・ミノマイシンなど)

テトラサイクリン系抗菌薬には抗炎症作用があり、丘疹・膿疱型酒さに有効です。
皮膚常在菌叢を整える効果もあり、通常は6〜8週間を目安に内服します。

イソトレチノイン

皮脂分泌を抑制し、炎症性サイトカインを減少させる作用があります。
重症例や再発例に使用します。肝機能・脂質の定期的な採血管理が必要です。

③ レーザー治療 VビームⅡ(色素レーザー)

血管拡張型の酒さに最も効果的な治療のひとつです。
595nmの波長で拡張した毛細血管に選択的に吸収され、赤みを改善します。

  • 治療間隔:2〜4週間ごと
  • 回数:3〜6回程度で赤みの軽減を実感される方が多いです。
  • 副作用:軽い赤み・腫れ・紫斑が数日続くことがあります。
④ スキンケア指導

酒さでは、皮膚バリアの回復と刺激回避が最も重要です。

  • クレンジング・洗顔:泡でやさしく洗い、摩擦を避ける
  • 保湿:セラミド・ヒアルロン酸など配合の低刺激保湿剤
  • 紫外線対策:ノンケミカルタイプの日焼け止め(SPF20〜30程度)
  • メイク:低刺激のミネラル系ファンデーション推奨

また、アルコール・香辛料・熱い飲食物・サウナ・日差しは悪化因子のため注意が必要です。
症状の程度や部位によって治療法が異なりますので、医師による診断のもとで適切な治療を継続することが大切です。

酒さ様皮膚炎

酒さ様皮膚炎は、酒さに似た皮膚症状が現れることから名付けられた疾患です。
主にステロイド外用薬を顔面に長期間使用したことが原因で発症します。
つまり、ステロイドの副作用として起こる皮膚炎の一種です。

主な症状

ステロイドを塗布した部位に、次のような症状がみられるようになります。

  • 赤み(紅斑)
  • 毛細血管の拡張
  • 細かいブツブツ(丘疹)や膿胞
  • かゆみや灼熱感

発症しやすい部位は口の周り、頬、おでこなどです。
なお、口の周囲に限って症状がみられる場合は「口囲皮膚炎」と診断されます。

治療について

治療の第一歩は、原因となっているステロイド外用薬の使用を中止することです。
中止後、一時的に症状が悪化することがありますが、これは皮膚が回復する過程で起こる反応です。
必ず医師の指導のもとで治療を続けてください。
症状が強い場合や、にきびのような発疹が悪化している場合には、抗菌薬の内服や外用薬を併用して炎症を抑えていきます。

じんましん(蕁麻疹)

じんましんは、皮膚の一部に突然、赤く盛り上がった発疹(膨疹)が現れる皮膚症状です。
形は円形・楕円形・地図状などさまざまで、数時間から24時間以内に跡を残さず消えるのが特徴です。
発症時には、かゆみやチクチクした痛みのような感覚を伴うことがあります。

原因と分類

発症の原因には、以下のようなものが考えられます。

  • アレルギー反応(食物、薬剤、虫刺され など)
  • 物理的刺激(圧迫・寒冷・発汗・摩擦など)
  • 化学物質や刺激物との接触

ただし、じんましんの約7割は原因が特定できない「特発性じんましん」です。
症状の持続期間によって、次のように分類されます。

急性
じんましん
症状が6週間以内に治まる
慢性
じんましん
6週間以上、繰り返し症状が出る

特に慢性じんましんでは、夕方から夜間にかけて症状が悪化しやすい傾向があります。

治療について

原因が明らかな場合は、まず原因の除去や回避に努めます。
多くのケースでは原因が不明ですが、症状の緩和には以下の治療を行います。
また、生活の中では、ストレス・疲労・過度の飲酒なども症状を悪化させる要因となるため、規則正しい生活と十分な休養も大切です。

当院での治療

① 抗ヒスタミン薬(第一選択)

蕁麻疹治療の基本となるお薬で、アレルギー反応による「ヒスタミン」の働きを抑えます。

  • 効果が不十分な場合は、倍量投与(ガイドライン推奨)に調整します。
  • 眠気が出やすい薬、出にくい薬を選んで調整します。
② 抗アレルギー薬・ロイコトリエン受容体拮抗薬

アレルギー体質の方や鼻炎などを合併している場合に併用します。

③ H2ブロッカー・トラネキサム酸などの補助療法

炎症や血管反応を抑える補助的治療として使用することがあります。

④ ステロイド内服(短期間のみ)

発疹やかゆみが強い急性増悪時に、短期間のみ使用することがあります。
長期的な使用は避けます。

花粉症

花粉症は、花粉がアレルゲン(原因物質)となり、さまざまなアレルギー症状が現れる疾患です。
スギやヒノキ花粉による春の花粉症がよく知られていますが、患者様によっては、夏のイネ科植物(カモガヤなど)や、秋のキク科植物(ブタクサ、ヨモギなど)が原因となる場合もあります。
いずれの場合も、特定の花粉が飛散する季節にのみ症状が現れることから、「季節性アレルギー疾患」と呼ばれます。

主な症状

花粉症では、鼻や目を中心に以下のような症状が現れます。

  • くしゃみ、鼻水、鼻づまり(アレルギー性鼻炎)
  • 目のかゆみ、充血、涙目(アレルギー性結膜炎)
  • 喉のかゆみ、痰のない咳、肌荒れ(湿疹)

鼻づまりが強くなると、不眠や頭痛、集中力の低下などを引き起こすこともあります。

治療について

治療の中心は、症状を抑える対症療法です。

内服薬 抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬など
点鼻薬 ステロイド系の鼻噴霧薬(鼻づまりに有効)
点眼薬 抗ヒスタミン薬またはステロイド系点眼薬(眼のかゆみ・充血に)

また、症状がひどくなることが予想される場合は、花粉の飛散が始まる約2週間前から治療を開始する「初期療法」も効果的です。
この方法により、発症を遅らせたり、症状を軽く抑えることが期待できます。
さらに、鼻づまりを改善するために、レーザーで鼻粘膜を収縮させる治療を行う場合もあります。

アレルギー検査「View39」について

「View39(ビュー39)」は、一度の採血で39種類のアレルゲン(アレルギーの原因物質)をまとめて調べられる血液検査です。
食べ物・花粉・ハウスダスト・動物など、日常生活で反応しやすい代表的な項目が網羅されています。
原因が分からないかゆみや湿疹、くしゃみ・鼻水などがある方におすすめの検査です。

検査で分かるアレルゲン(39項目)

検査項目は以下の2つのグループに分かれています。

〈吸入系・その他〉

ヤケヒョウヒダニ、ハウスダスト、ネコ、イヌ、スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ、アルテルナリア(カビ)、アスペルギルス、マラセチア、ラテックス など

〈食物系〉

卵白、オボムコイド、ミルク、小麦、エビ、カニ、ソバ、大豆、ピーナッツ、米、ごま、キウイ、リンゴ、バナナ、マグロ、サケ、サバ、牛肉、豚肉、鶏肉 など

このような方におすすめ

  • 原因不明の湿疹、かゆみ、じんましんがある
  • 季節によってくしゃみ・鼻水・目のかゆみが出る
  • 食後に口の中がかゆくなったり、発疹が出たことがある
  • アトピー性皮膚炎や気管支喘息、鼻炎がある

費用

  • 保険診療で実施可能です(3割負担の方でおよそ3,000円前後)。
  • アレルギーの症状がある場合、保険が適用されます。

ほくろ(色素性母斑)

「ほくろ」は、皮膚の一部にメラニン色素を含む細胞(メラノサイト)が集まってできた良性の皮膚腫瘍で、医学的には「色素性母斑(しきそせいぼはん)」と呼ばれます。
生まれつき(先天性)にみられる場合もあれば、成長の過程で後からできる(後天性)場合もあります。

特徴と注意すべき変化

ほくろの色や形には個人差があり、黒・褐色などの色調、平らなものから盛り上がったものまでさまざまです。
多くは直径1cm未満ですが、なかには見た目が皮膚がんの一種である悪性黒色腫(メラノーマ)と区別がつきにくい場合があります。
次のような変化が見られる場合は、悪性の可能性があるため注意が必要です。

  • 急に大きくなった
  • 盛り上がってきた
  • 形が左右非対称
  • 境界がぼやけている
  • 色にムラがある
  • 出血がある

これらの症状がある場合は、早めに皮膚科を受診してください。

検査と診断

診断には、ダーモスコピー(拡大鏡)を用いた観察のほか、必要に応じてほくろの一部を採取し、顕微鏡で組織を確認する検査(病理検査)を行います。
これにより、悪性黒色腫などの皮膚がんとの鑑別を行います。

治療について

良性のほくろであれば、そのまま経過観察でも問題ありません。
ただし、次のような場合は保険適用での外科的切除が可能です。

  • 視界の妨げになる
  • 髭剃りなどで引っかかる
  • 衣類の摩擦などで炎症を起こす

また、美容目的での除去を希望される場合は、自己負担(自由診療)で治療が可能です。
治療方法には以下があります。

  • 外科的切除(局所麻酔で切除・縫合)
  • レーザー治療(比較的小さなほくろに適用)

さらに、大きなほくろで悪性化の可能性がある場合にも外科的切除を行います。3cm以上の手術の場合は関連医療機関へのご紹介をいたします。

皮膚腫瘍

皮膚に発生する「できもの」を総称して皮膚腫瘍(ひふしゅよう)といいます。
皮膚腫瘍には、良性と悪性(皮膚がん)があり、その性質や治療法は大きく異なります。

皮膚腫瘍は種類が多く、見た目だけでは良性か悪性かの判断が難しいこともあります。
気になるできものがある場合は、自己判断せず、皮膚科で診察・検査を受けることが大切です。

主な良性腫瘍

アテローム(粉瘤)

アテロームは、皮膚の下に袋状の構造物ができ、そこに皮脂や角質(垢)が溜まることで形成される良性腫瘍です。
「粉瘤(ふんりゅう)」とも呼ばれます。
見た目は皮膚と同じ色で、ドーム状に盛り上がったしこりのように見えます。
大きさは1~2cm程度が多いですが、なかには10cmを超える大きなものになることもあります。
発生しやすい部位は、顔・首・背中・耳の後ろなどです。
通常は痛みやかゆみはありませんが、圧迫して中身を出そうとすると、悪臭を伴う粥状の物質が出てくることがあります。
また、細菌感染によって発赤・腫れ・痛みを伴う「炎症性粉瘤」になることもあります。

治療について

痛みや炎症がなければ、経過観察のみとすることも可能です。
炎症・破裂の恐れがある場合には、切開処置や外科的切除(局所麻酔による日帰り手術)を行います。
炎症を起こしている場合は、まず膿を排出するために切開し、抗菌薬で炎症を抑える処置を行います。その後、炎症が治まってから外科的切除をおすすめいたします。当院では、くり抜き法による日帰り手術を行っています。

脂肪腫

脂肪腫は、脂肪組織が増殖してできる良性腫瘍です。
皮下(皮膚と筋肉の間や筋肉内)に発生する腫瘍としては頻度が高く、最もよく見られる皮下腫瘤のひとつです。
多くは単発ですが、まれに複数(多発性)発症することもあります。
大きさは数mm程度の小さなものから、10cm以上に達する大きなものまで様々です。
首、肩、背中、手足などにできやすく、痛みはありませんが、やわらかいしこりとして触れるのが特徴です。
発生の原因は明確ではありませんが、肥満の方、糖尿病・高血圧の患者様に多い傾向があるといわれています。

治療について

脂肪腫は良性であるため、気にならなければ治療の必要はありません。
ただし、時間の経過とともにゆっくり大きくなることがあるため、見た目や違和感が気になる場合には、手術による摘出を行います。
なお、完全に切除すれば再発の可能性はほとんどありません。当院では脂肪腫の手術につきましては精査含めて治療可能な関連医療機関をご紹介いたします。

主な悪性腫瘍

メラノーマ(悪性黒色腫)

メラノーマは、皮膚のメラノサイト(メラニン色素をつくる細胞)ががん化してできる腫瘍で、皮膚がんの中でも悪性度が高いとされています。
紫外線や慢性的な刺激などが、遺伝子変異を引き起こす一因と考えられています。

主な症状・特徴

良性のほくろ(色素性母斑)と区別がつきにくいため、早期の鑑別が重要です。
以下のような変化が見られる場合は注意が必要です。

  • 形が左右非対称
  • 色に濃淡がある
  • 縁がギザギザしている
  • 大きさが6mmを超えている
  • 1〜2年のうちに急に大きくなった

発生しやすい部位は足の裏、手、爪の下などです。

検査と治療

診断にはダーモスコピー(拡大鏡)による観察や、生検(病変の一部または全体を採取)を行います。
治療の基本は外科的切除で、再発や転移のリスクを抑えるため、周囲の正常皮膚も広めに切除します。
また、必要に応じて薬物療法・放射線療法・化学療法を組み合わせることもあります。

基底細胞がん

基底細胞がんは、皮膚がんの中で最も発症頻度が高いタイプです。
表皮の一番下にある「基底層」の細胞ががん化して発生します。

主な症状・特徴

主に顔(特に鼻やまぶた)など紫外線を受けやすい部位に発症します。
見た目は黒褐色〜黒色のほくろのような結節で、初期には痛みやかゆみはありません。
進行すると中央部が潰瘍化し、出血やかさぶたを伴うようになります。
進行はゆっくりですが、放置すると周囲組織を破壊することがあります。

治療について

基本は外科的切除です。
病変部位は再発を防ぐため広めの範囲で切除します。
手術が難しい場合は、放射線療法や凍結療法を行うこともあります。

有棘細胞がん(ゆうきょくさいぼうがん)

有棘細胞がんは、皮膚の有棘層の細胞が悪性化して起こる皮膚がんで、高齢者に多くみられるタイプです。

原因と症状

主な原因は長年にわたる紫外線の影響で、顔・腕・背中など日光に当たりやすい部位に発生します。
また、やけどやケガの瘢痕、慢性的な炎症、放射線照射部位などが原因になることもあります。
皮膚の表面が赤く硬く盛り上がり、不整形な腫瘤として現れます。
表面にはかさぶた・鱗屑(りんせつ)・潰瘍が見られ、カリフラワー状に変化することもあります。
悪臭を伴うこともあり、進行するとリンパ節転移を起こす場合もあります。

検査と治療

診断には、ダーモスコピーや組織診(顕微鏡検査)を行い、必要に応じて超音波検査・X線検査などで転移を確認します。
治療の基本は外科的切除で、再発防止のため広めに切除します。
また、術後に放射線療法を行うことがあり、手術が困難な場合には化学療法(抗がん剤)を行うこともあります。

当院で、悪性腫瘍を疑う症状の方には、精査含めた治療を行うことのできる医療機関をご紹介いたします。

尋常性白斑(じんじょうせいはくはん)

尋常性白斑は、皮膚の一部が白く抜けてしまう後天性の皮膚疾患です。
これは、メラノサイト(メラニン色素をつくる細胞)が消失または機能を失うことで発生します。

原因について

明確な原因はまだ解明されていませんが、次のような要因が関係していると考えられています。

  • 自己免疫異常(自分の免疫がメラノサイトを攻撃してしまう)
  • 遺伝的要因(家族に同様の症状がある場合に発症しやすい)
  • 環境的要因(ストレス、紫外線、皮膚への物理的刺激など)

主な症状とタイプ

症状としては、皮膚の色が白く抜ける以外に自覚症状(かゆみや痛みなど)はありません。
白斑の現れ方によって、以下の3つのタイプに分類されます。

非分節型 皮膚の分節に関係なく、全身のさまざまな部位に白斑がみられるタイプ
分節型 皮膚分節に一致して、体の片側のみに発症するタイプ
未分類型 一部の限られた部位にのみ白斑がみられるタイプ

発症部位は、顔、手足、関節周囲などに多く見られます。

治療について

治療の目的は、メラニン色素の再生を促し、皮膚の色を取り戻すことです。
当院での主な治療法は以下の通りです。

外用療法 ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏などを使用
光線療法 NB-UVB療法(ナローバンドUVB)

水虫・爪水虫

水虫(足白癬)

水虫は、正式には足白癬(そくはくせん)と呼ばれ、白癬菌(皮膚糸状菌)というカビの一種による感染症です。
白癬菌は足だけでなく、手・頭部・体部・股部・爪などにも感染することがありますが、最も多くみられるのは足白癬(水虫)です。

原因について

感染は、白癬菌に汚染された環境から起こります。
例えば、スリッパや足拭きマットを不特定多数の人で共有することで感染することがあります。
白癬菌が皮膚に付着してから感染に至るまでには約24時間かかるとされており、
その間に足を洗い流せば感染を防ぐことができます。
ただし、足に小さな傷がある場合は12時間程度で感染することもあります。
高温多湿の環境を好むため、夏に発症しやすく、冬は症状が落ち着く傾向があります。
しかし菌が完全に除去されていないと、翌年の春や夏に再発することもあります。

水虫のタイプ

水虫は、発症部位や症状の違いによって大きく3つのタイプに分けられます。

趾間型
足白癬
(しかんがた)
足の指の間に赤み(紅斑)・小さな水ぶくれ・皮むけ(鱗屑)などがみられ、かゆみを伴います。
最も一般的なタイプです。
小水疱型
足白癬
(しょうすいほうがた)
足の裏(特に土踏まず)に小さな水ぶくれが多発します。
発症時に強いかゆみを伴うことが多いです。
角化型
足白癬
(かくかがた)
足の裏やかかとの角質が厚く硬くなるタイプです。
かゆみはほとんどありませんが、皮膚がガサガサ・ゴワゴワした状態になります。

爪水虫(爪白癬)

水虫の感染が進行すると、爪にも白癬菌が感染することがあります。
これを爪水虫(爪白癬)と呼びます。
多くは足の親指から発症し、次のような症状がみられます。

  • 爪の白色・黄色への変色
  • 爪の変形や厚みの増加
  • 爪がもろく欠けやすくなる

自覚症状(かゆみや痛み)はほとんどありませんが、放置すると爪全体に広がることがあります。

治療について

足白癬(水虫)

外用療法 抗真菌薬(カビを抑える薬)の塗り薬を使用します。
内服療法 角化型など、薬が皮膚の奥まで届きにくい場合は、内服の抗真菌薬を併用します。

爪白癬(爪水虫)

内服療法が基本です。爪の奥まで薬を浸透させる必要があるため、抗真菌薬の内服を数カ月〜半年ほど継続して行います。

どちらの場合も、症状が改善しても菌が完全にいなくなるまで治療を続けることが大切です。

尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)

尋常性疣贅は、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染によって発症する皮膚の良性増殖性疾患(いぼ)です。
主にHPV 2型・27型・57型が原因とされています。

原因と感染経路

ウイルスは、皮膚の小さな傷口から侵入して感染します。
その後、角化細胞(皮膚の表面をつくる細胞)に感染して増殖し、乳頭腫(いわゆる「いぼ」)が形成されます。手足や指などによく見られ、放置すると広がることもあります。
感染しやすい状況としては、すり傷・ささくれ・爪噛みなどによる微小な皮膚損傷がある場合や、プール・体育館など人が多く裸足になる環境が挙げられます。

症状と特徴

  • 表面が硬くザラザラしており、徐々に盛り上がってくる
  • 大きさは数mm〜1cm程度が多く、単発または多発する
  • かゆみや痛みなどの自覚症状はほとんどなし
  • 発症しやすい部位:手指・足の裏・手の甲・顔面・頸部など
  • 年齢を問わず発症しますが、子どもや若年層に多く見られます

部位による違い

足底疣贅
(そくていゆうぜい)
足裏にでき、平たく硬い。歩くと痛みを伴うことも。
糸状疣贅
(しじょうゆうぜい)
顔や首にでき、細長く突き出た形状になることがあります。

診断について

多くの場合は視診で診断が可能です。
必要に応じて、ダーモスコピー(拡大鏡)を用いて確認します。
診断が難しい場合は、皮膚生検(組織を一部採取して顕微鏡で観察)を行うこともあります。

治療について

尋常性疣贅は、自然に治癒することもありますが、見た目が気になる、感染拡大のリスクがあるといった理由から治療を行うことが多いです。

主な治療法

凍結療法(液体窒素療法)

-196℃の液体窒素を綿棒やスプレーでいぼに数秒あて、凍結と融解を繰り返すことで、感染した角質を壊し、皮膚の再生を促します。治療は1〜2週間ごとに繰り返し行うのが一般的で、小さないぼでは数回で改善することもありますが、硬く厚みのあるいぼや、長期間続いているいぼでは10回以上かかる場合もあります。治療後は軽い赤みや水ぶくれ、かさぶたができることがありますが、自然に皮膚が再生していきます。

内服療法(ヨクイニン)

漢方薬のヨクイニンを内服し、皮膚の新陳代謝や免疫反応を改善します。
小児や複数のいぼがある場合に併用されることがあります。

サリチル酸外用療法

角質を軟化させる作用のあるサリチル酸を塗布や貼付して、徐々にいぼを削り取るように除去していく方法です。

モノクロロ酢酸塗布治療(自費)

酸の化学的作用によっていぼの角質を少しずつ溶かし、ウイルスに感染した細胞を除去していく方法です。痛みが少なく、液体窒素に比べて刺激が穏やかなため、お子さんや痛みに敏感な方にも行いやすい治療です。治療は1〜2週間ごとに繰り返し行い、いぼの厚みや部位によって回数は異なります。治療後は白くふやけたり、軽い刺激感を感じることがありますが、数日で落ち着きます。

老人性いぼ(脂漏性角化症)

老人性いぼ(脂漏性角化症)は、皮膚の加齢変化によって生じる良性腫瘍です。
長年にわたり紫外線を浴び続けることなどが原因で皮膚が老化し、その結果として角質細胞が増殖して発症します。

発生しやすい部位と症状

紫外線にさらされやすい顔面・首・腕・背中などに多くみられます。

  • 痛みやかゆみなどの自覚症状はほとんどありません。
  • 発生初期はシミ(老人性色素斑)のように見え、次第に盛り上がりとざらつきを伴うようになります。
  • 大きさは直径1~2cm程度が一般的で、色調は茶色・褐色・黒色などさまざまです。

鑑別と検査

老人性いぼは良性ですが、皮膚がん(悪性黒色腫など)との区別が難しい場合があります。
とくに以下のような変化がある場合は注意が必要です。

  • 急に大きくなった
  • 出血やかさぶたがある
  • 不規則な形や色むらがみられる

このような場合は、

  • ダーモスコピー(拡大鏡での観察)
  • 皮膚生検(組織を採取して顕微鏡で確認)

などを行い、鑑別診断を行います。

治療について

脂漏性角化症は良性なので見た目以外には放っておいても大きな問題はないのですが、かゆみがある、引っかかって出血する、と症状がある場合やほかの皮膚腫瘍と区別がつきにくい場合は切除を推奨します。

当院では、以下のような方法で脂漏性角化症の治療をしています。

ラジオ波メス(高周波メス、サージトロン)

ラジオ波メスは、高周波を利用して患部を焼却・切除する施術です。顔にできたイボや、厚みのあるイボなどに向いた方法です。
脂漏性角化症は皮膚の表面にあるできもののため、ラジオ波メスで患部を浅く削って治療をします。ラジオ波メスは、止血と焼却・切除を同時にできるメリットがあるため、通常のメスに比べると傷口が小さく、治りも早くなります。
施術前には麻酔薬を使用するため、麻酔薬にアレルギーのある方は事前にご相談ください。
ある程度の大きさがあるいぼの場合、施術後は患部を保護するために、最低1週間はテープを貼ったままにします。1週間後の再診では、テープをはがして患部の状態を確認します。小型の場合にはテープを貼らないこともあります。

凍結療法(液体窒素療法)

マイナス196℃の液体窒素を綿棒などに含ませ、患部を凍結して細胞を壊死させます。
1回で完全に除去できることは少なく、数回の通院が必要です。
施術中・施術後に軽い痛みや水ぶくれを伴うことがあります。

ヘルペス(単純疱疹)

単純ヘルペスウイルス(HSV)1型または2型への感染によって発症する皮膚疾患です。
ヘルペスウイルスは、一度感染すると体外に排出されず、神経節の中に潜伏します。
そのため、症状が治まってもウイルスは体内に残り、疲労・ストレス・発熱などで免疫力が低下すると再発することがあります。

原因と感染経路

HSV-1
(1型)
主に口や顔周囲に感染。
感染経路は接触感染・飛沫感染などで、20代までに約半数の人が感染しているといわれます。
HSV-2
(2型)
主に性器周辺に感染。
感染経路は性的接触によるものが大半で、成人以降に感染することが多いです。

症状について

HSV-1(口唇・顔面など)

初感染時は、幼少期では自覚症状が出にくく、気づかないうちに感染しているケースも少なくありません。症状が出る場合は、感染部位に赤み・腫れ・水ぶくれなどが現れます。
症状が治まるとウイルスは三叉神経節に潜伏します。
その後、免疫低下などをきっかけに再活性化し、口唇ヘルペス(唇や口周りのピリピリ感・水疱)や角膜ヘルペスとして再発することがあります。

HSV-2(性器周辺)

感染から2〜10日の潜伏期間を経て、外陰部に痛みを伴う小さな水疱や潰瘍が出現します(性器ヘルペス)。
初感染時は痛み・発熱・排尿時痛などが強く出ることがあります。
約1週間で症状は軽快し、ウイルスは仙骨神経節に潜伏します。
免疫力が低下した際には再発し、再び性器ヘルペスが現れますが、再発時の症状は初回より軽いのが一般的です。

診断について

多くは問診と視診で診断が可能です。

治療について

治療は、抗ヘルペスウイルス薬による薬物療法が中心です。
軽症の場合:内服薬(バラシクロビル、アシクロビルなど)を使用
重症・初感染の性器ヘルペスなど:点滴による抗ウイルス薬投与を行うこともあります
また、症状の出始め(ピリピリ感・違和感の時点)で治療を開始することで、発疹や水疱の拡大を抑え、治癒を早めることができます。

帯状疱疹

帯状疱疹は、水ぼうそうのウイルス(帯状疱疹ウイルス:VZV)が再び活性化して起こる病気です。
子どもの頃にかかった水ぼうそうのウイルスは、治った後も体の神経の奥に潜んでいます。
加齢や疲労、ストレス、免疫力の低下などをきっかけに、再び活動を始めることで発症します。

症状

  • 体の左右どちらか一方に「チクチク・ピリピリ」とした痛みが出る
  • 数日後、その部分に赤い発疹や水ぶくれが帯状に現れる
  • 顔、首、胸、背中、腰など、どの部位にも起こる可能性があります

発疹が治まったあとも、神経痛(帯状疱疹後神経痛)が長く残ることがあるため、早期治療がとても大切です。

治療について

帯状疱疹は、発疹が出てからできるだけ早く(発症後72時間以内)に治療を始めることが重要です。

① 抗ウイルス薬

原因となるウイルスの増殖を抑えるお薬です。
早めに使用することで、症状の悪化や後遺症(神経痛)を防ぐ効果が期待できます。

主な内服薬には以下があります

  • バルトレックス(Valtrex)
  • ファムビル(Famvir)
  • アメナリーフ(Amenalief)
  • ゾビラックス(Zovirax)

いずれも、医師が症状・体重・腎機能などを確認したうえで処方します。
重症の場合や顔面神経・目の周囲に出た場合は、点滴治療(入院治療)を行うこともあります。

② 痛み止め(鎮痛薬)

神経の炎症や痛みを和らげるために、鎮痛薬(ロキソニンなど)や神経痛に効く薬を併用します。

③ 外用薬

発疹や水ぶくれの部分には、炎症を抑える塗り薬を使います。

回復までの経過

通常、2〜4週間ほどで発疹はかさぶたになり治っていきます。
ただし、神経の炎症が強い場合は痛みが数か月以上続くこともあります(帯状疱疹後神経痛)。痛みが残る場合も早めにご相談ください。神経痛専用の治療薬を追加することで、痛みの軽減が期待できます。